住宅ローンのリスケジュールについて徹底解説
リスケジュールとは
リスケジュールとは、銀行などの債権者にお願いして、返済計画を見直してもらうことです。略して「リスケ」と呼ばれることも多いです。
「今は苦しい状況だけれど、返済計画を見直せば、今後は問題なく返済して行ける」という状況であって、そのことを債権者に納得させられれば、リスケに応じてくれる可能性はあります。債権者としても、競売などの法的手続きは面倒なので、なるべくそのまま支払いを継続して欲しいのです。
例えば、以下のようなケースであれば、リスケが認められる可能性が高いと考えられます。
- リストラされて今は無収入だけど、再就職先が決まっている。
- ケガなどで一時的に休職していたが、回復の見込みが立っている。
- 収入が減ったが、家計の見直しを徹底しており、無駄な出費がほとんどない
ただし、「どう頑張っても今後の返済の見通しが立たない」場合や、浪費・ギャンブルなどが原因の場合は、リスケに応じてもらえる事はほとんど無いでしょう。
金融機関は柔軟に対応してくれる
リーマンショック後、日本経済が危機的だった平成21年に「金融円滑化法」という法律が出来ました。法律の趣旨は、資金繰りや返済に困っている中小企業や個人を救済することです。この法律で、金融機関に対して、「借主からリスケの申し出があれば柔軟に応じるように努めなさい」という義務が課せられました。この法律が出来て以降、金融機関のリスケに対する姿勢が、従来よりも柔軟になったと言われています。
この法律は、平成25年には、景気が回復してきたと判断されたため、終了しました。しかし、法律が終了した後も、金融庁からの要請があって、金融機関は柔軟にリスケに応じる姿勢を続けてきました。現在では、コロナの影響で困っている方も多いので、改めて金融庁から柔軟な対応をとるよう要請があり、金融機関もこれに応えるように努めています。
厳しい条件を要求されることもある
金融機関が、リスケに柔軟に対応してくれるとは言っても、簡単にリスケが認められる訳ではありません。リスケを簡単に認めると、キチンと払っている人からすれば、不公平を感じることになるため、金融機関の対応としてはマズイからです。
とくに住宅ローンの場合は、国の住宅政策によって、他のローンと比べて非常に安い金利で、たくさんの方が借りることが出来るようになっています。つまり、たくさんの方に利用してもらい、キチンと返済してもらうことが前提にあるのです。もし、予定通りに返済しない人が増えれば、貸す人を厳選して、金利も上げざるを得ないでしょう。そうなっては困るため、金融機関が住宅ローンのリスケ応じる際には、それなりに厳しい条件を要求してきます。
とくに、家計の状況は徹底してチェックされ、金融機関から見て無駄な出費があれば、それを削減することが、リスケの条件となります。
申し込む前の準備が大切
このように、リスケは決して簡単に認められるものでは無いので、申し込む前に、借入先を説得できるだけの準備をした方が良いでしょう。ただし、滞納が始まると、リスケは認めてもらえないので、急ぐことも必要です。
準備にあたっては、とくに家計の見直しを徹底しておくことが大切です。実際に金融機関に相談に行くと、かなり厳しく家計の見直しを迫られることが多いです。例えば、子どもの習い事とかスマホ代、趣味にかかるお金、車や保険など、生活に不可欠とまで言えないものは、厳しく制限されることがあります。あまりの厳しさにショックを受けてしまう人も少なくないようです。
リスケのパターン
リスケには、以下のパターンがあります。ご自身の状況に合わせて、借入先に相談してみると良いでしょう。
- 返済期間を延長する
- 一定の期間だけ返済額を減らす
- ボーナス返済を減らす
期間を延長する
住宅ローンの借入期間は、一般的に、最長で35年とされています。これよりも短い期間でローンを組んでいる場合、リスケにより、返済期間を延長できる可能性があります。返済期間を延長すれば、毎月の返済額が減ることになります。ただし、完済までの期間が長くなる分、利息が余計にかかり、返済総額は増えてしまいます。保証会社を利用している場合は、期間が延びた分、追加の保証料がかかります。また、完済時の年齢によっては、延長が難しいこともあります。
一定の期間だけ返済額を減らす
リスケにより、半年から1年位の期間だけ、返済額を減らせる場合があります。状況次第では、期間中、元金据え置き(利息だけ返済すること)が認められることもあります。リスケ期間は、最大で1年以内とされる場合がほとんどです。1年を超える期間が必要な場合は、再度のリスケが必要ですが、実際に2度目のリスケが認められることは少ないです。なお、ローンを組んだ当初の予定期間内で返済を終えるためには、リスケ期間終了後は、当初の予定よりも、毎月の返済額が増えてしまいます。
ボーナス返済を減らす
多くの住宅ローンでは、ボーナス併用返済が認められており、利用する人も沢山います。ボーナスが減ってしまい、返済が苦しいという場合には、ボーナス返済の比率を下げてもらうことも有効です。ただし、この見直しは、毎月の返済額とボーナス返済額の比率を変更するだけなので、年間の返済総額は、ほとんど変わりません。つまり、ボーナス時の返済額が減った分、毎月の返済額は増えることになるので、注意が必要です。であれば、毎月貯金をしておいて、それをボーナス時の返済に充てれば良いので、リスケは必要ないようにも思えますが、実際に行うとなるとなかなか難しいものです。頭ではわかっていても、実行できないことは、良くあることです。リスケをすることで、強制的な仕組みを作っておいた方が安心とも言えます。
リスケのデメリット
リスケには、以下のようなデメリットが存在します。
- 一時的な返済猶予に過ぎない
- 返済総額が増える
- 滞納があると使えない
- 老後に返済を回すことのリスク
- 借入先からの信用が下がる
一時的な返済猶予に過ぎない
リスケにより、一定の期間だけ返済額を減らしたとしても、家計の状況が改善しない限り、一時猶予に過ぎません。リスケ期間を過ぎてしまえば、また返済に苦しむことになります。
返済総額が増える
リスケは、ローンを減額するものではなく、支払いの先延ばしに過ぎません。したがって、元金が減るのが遅くなるため、余計な利息がかかり、かえって返済総額は増えてしまいます。また、保証会社を利用している場合は、返済期間が延びれば、その分だけ追加の保証料がかかります。
滞納があると使えない
滞納があるとは、金融機関はリスケに応じてくれません。その場合、滞納分を解消してからということになりますが、滞納している段階で、厳しい状況のはずですから、滞納分をまとめて払えることは少ないでしょう。したがって、滞納する前にリスケの相談をすることが大切です。すでに滞納している場合、親族などからの援助が可能ならば、それにより滞納分を解消して、リスケの交渉をするという方法も考えられます。
老後に返済を回すことのリスク
ほとんどの住宅ローンでは、完済時の年齢に上限が決められています(大半は80歳まで)。したがって、これを超えてしまう内容のリスケは難しいのが一般的です。しかし、例外的にこれを超えたリスケが認められる場合もあり、実際に完済時年齢が90歳を超えている事例を目にしたこともあります。
とは言え、老後にローンを回すことは、リスクが高いと言わざるを得ません。退職金で返せれば良いのですが、思っていたよりも支給が少なく、定年後にもローンが残るというケースは多くあります。年金生活に入ると収入が大きく減る一方で、若い頃と違って医療費などにお金がかかることもありますし、住んでいる家が老朽化してくれば補修にもお金が必要になります。
万が一、老後破産となった場合には、当然自宅は失うことになります。そうすると、賃貸への入居を検討することになりますが、若い頃と違って、借りづらくなるという現実があります。
借入先からの信用が下がる
リスケをしたとしても、返済を滞納しない限り、信用情報機関に登録されることはありません(いわゆるブラック情報にはならない)。ただし、リスケ先の金融機関からの信用は落ちますので、以下のようなデメリットが発生します。
- 金利優遇措置が受けられなくなることがある
- 金利が引き上げられることがある
- リスケ先からの新規借り入れは難しくなる(事業者などの場合はとくに注意が必要)
- 追加の担保や保証人を要求されることがある
リスケ以外の解決方法
リスケが難しい場合や、根本的な解決につながらない場合は、次のような解決策があります。
- 住宅ローンの借換をする
- 任意売却をする
- 民事再生(住宅ローン特例付)を申立てる
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